偽造の証拠

初めに なぜ偽造被害に気付いたか

事の始まりは1年程前に世界に1枚しかない1999年の初代DM1の大会の優勝賞品、ステンレスカオスソルジャーについて調べていた時でした。
現在この記事は編集途中です。すでにあげているyoutube動画のほうに先に同じ内容をまとめていますのでそちらをご覧ください。

偽造カード 注意喚起 再生リスト(8本の動画)

遊戯王カード1枚が9億円

引用:ラビット速報様

こちらのショップで本物のカオスソルジャーが9億で過去販売されていたという記事をみつけ、そのショップのURLを開きましたがすでに閉鎖済みでした。

過去のサイトのアーカイブが見れるサイト(https://archive.org/)で私はこのショップURLを入力し、その内容を確認しました。しかしその販売者やカードについて、掘り下げて詳しく調べていくうちにこのショップは意図的に偽造カードを製造し、それを販売しているのではないかとの確信が生まれました。

ショップのURLと過去のアーカイブ

ネットショップURL ショップ名は「cardcollectors」
https://archive.org/ こちらのサイトで下記のURLを入力すれば過去のサイトを年代別に一部閲覧できます

http://www.yugi1.com 2007年から2013年頃まで
webアーカイブの一覧ページ

http://www.cardcollectors.jp/ 2013年頃からこちらの新ドメインに移行 2017年頃に閉鎖
webアーカイブの一覧ページ

↓ショップ開設最初期の運営者の紹介ページ
https://web.archive.org/web/20071213225721/http://www.yugi1.com/ownerInformation.html
web魚拓

2007年8月頃アーカイブにて古物商番号を確認
https://web.archive.org/web/20080311115537/http://www.yugi1.com/ownerInformation.html
web魚拓

現在の古物商番号一覧ページには記載が無いが、過去のアーカイブには同一番号が存在(古い情報は再申請しないと期限切れで消える?)
https://web.archive.org/web/20130427115247/http://www.kouaniinkai.pref.tokushima.jp/kobutuitiran.html

2011年のサイトに口座番号などの情報有
https://web.archive.org/web/20101101224757/http://www.yugi1.com/

その他このショップが過去運用していた疑いのあるオークションID一覧は下記の記事をご覧ください。
このショップのオークションIDの全て

オークションIDの特定

そして調査を進める内にその被害規模は思ったよりも深刻で、少なく見積もっても数千万円にはなるかと予想されます。その偽造カードが今でも本物としてショップなどで買取、販売されたり、本物だと思って買った人が偽物と気づかずにオークションやフリマサイトなどに出品して、さらなる二次被害が生まれたりもしています。

まず初めに、このショップが2008年に自らのネットショップでYAHOO店として紹介しているIDがあります。2008年のショップのリンク集の中にもYAHOO店(遊戯王カードショップ)というリンクのURLを辿るとtemplateshop2006というIDが確認でき同一人物だと確認できる。
https://web.archive.org/web/20080731032638/http://www.yugi1.com/link
web魚拓

こちらを2015年~現在までのオークションの落札履歴を検索できるサイト「オークフリー」で入力し、期間を2015年~現在までを指定します。2015年以前のデータはオークファンというサイトで2012年分から確認できます

するとこのショップの出品履歴一覧には同じ高額カードの50枚セットや100枚セット、未裁断シートなど数々の怪しげな商品の出品が確認できます。

過去の出品履歴一覧
https://aucfree.com/search?from=2015-06&o=t2&seller=templateshop2006&to=2021-07

偽物

中でも注目なのが、偽造品が多いカードとして有名な聖夜竜やBEWドラゴンを大量セットで出品。約2800枚限定のゲーム大会プロモ、字レアのG3-11ブラックマジシャンガールを100枚セットで出品、これは裏面がなぜかマジック&ウィザーズと書かれており、試作段階のテスト品などと説明されていました。

偽物2

マジック&ウィザーズ版と言えば2010年頃から出回り始めたVol.1の試作品の未発売品であり、この裏面に同様のロゴが使われています。このショップはその裏面のロゴを利用する事で、内部関係者と繋がっている事をアピールして存在しないオリカを製造し高額で販売していました。実際このカードも偽物として有名で、ネットで検索すると注意喚起の記事が複数発見できます。

引用:初心者でもわかる遊戯王の始め方様
引用:おにぎりまとめ様

そちらの記事を見ると他の捨て垢で出品の際には、自作品です仕様がことなりますとの説明を付けて出品していた物もあったようです
しかし基本的には商品説明にオリカと記載して出品する事は少なく、メーカーから直で入手したサンプル版の正規品として自身が作った偽造品を大量出品しています。

オークションの説明

引用:おにぎりまとめ様 「遊戯王 オリカを試作品として販売か M&W仕様 G3-11 ブラック・マジシャン・ガール」より

またこのショップの店長は、このID以外にも10個以上の捨てIDを駆使し、ある程度偽造品を売り抜けるとIDを削除して証拠隠滅。ほとぼりが冷めた頃にまた新規IDを作成し、偽造カードを出品という事を繰り返しており多額の利益を得ていたようです。他にもT3-05 真紅眼の黒竜を50枚セットで出品して300万円で落札されている履歴もありました。

実際にtemplateshop2006でグーグル検索すると、ヤフオクの出品者のtemplateshop2006さんについて。というyahoo知恵袋の質問があり
https://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q12151212772
web魚拓

そのあまりの怪しさに不信感を感じている人がいたことが確認できます。高額な限定カードも本物を一度買ってカードをスキャンしてそれをもとに偽造品を作っていた可能性が高いと思います。

その他にも2011年のweb魚拓にも同様のIDが確認でき、遊戯王の海賊版プレイマット(アニメやゲームの画像を無断使用して製作したもの)を販売している事が確認できます。

偽造抱き枕関連情報 @WIKI

偽造品関連情報wikiにもIDが確認でき、不信感を感じた人が魚拓をとったり、wikiに記録していた形跡が伺えます。2012年のショップのアーカイブでも東方やボーカロイドや人気アニメのプレイマットを1枚1万円前後で販売していた履歴があり、こちらもアニメなどの版権絵を無断で使用した物や同人絵を作者に許可を取らずに無断製造している違法品です。

2012年02月のネットショップ上でも同様のプレイマットの販売履歴有り
https://web.archive.org/web/20120201171519/http://www.yugi1.com/?mode=cate&cbid=1169965&csid=0

2012年03月東方プレイマット専門店をオープン
https://web.archive.org/web/20120110125529/http://www.melmol.com/?mode=sk#info

また現在もオリカをヤフオクやpaypayフリマに出品中で、こちらのアカウントではオリカと明記して出品しておりますが、アニメなどの画像を無断使用した物や、既存のカードのイラストを無断使用した物が中心です。



元々このショップはオリカの加工に使う、パラレルシートなどを小分けにして販売していた過去もあり、20年以上前からオリカを製造・販売しており、その過程で偽造カードを製造、販売する流れにシフトしていった可能性が高いです。

パラレルシート販売

さらに、ショップのアーカイブを掘ると、世界に数枚の超希少カードなどの出品も多数確認でき、それらの超希少カードを100枚セットなどの異常な量で販売していたりもします。シクブル100枚セット、G3シクガール100枚セット、抽選1000名限定、中国版黒魔道士200枚セットなど。それぞれ本物であるなら、現在の相場でシクブルは1枚200万円以上、シクガールは300万円以上、黒魔道士は50万円以上の価値がある高額カードです。それらが100枚あるならシクブルが2億円・シクガールが3億円・黒魔道士が1億円の価値になります。

もしこれらの精巧な偽物を作って販売していたとしたら、考えるだけでも恐ろしい被害が出ている事が想像できます。これら以外にもツイッターのフォロワーの方で当時、あまりにも怪しいオークションだと思いスクショを取っていた方がいて画像を頂きました。


アジアチャンピオンシップ優勝賞品の世界に1枚の青眼の究極竜の50枚セット、DM1全国大会配布、400枚限定の女剣士カナンのウルトラ50枚セットなど、あまりにも怪しすぎる出品を捨て垢で行っていたようです。しかしこれらの画像は一枚の画像をコピー&連結させた物であり、あまりの怪しさと安さに、買う人はほとんどいなかったのかと思われますが、もし購入したら実際に届くのは粗末な作りの偽造品なのだと思います。また聖夜竜やDM1関連の偽造カードのクオリティーはかなりの出来でしたが、G3-11の字レアガールのM&W版などは、かなり粗末なクオリティーの用なので、高額品の精巧な偽造品製造の心配はとりあえずは楽観視しても良さそうです。

しかし実際にアジアチャンピオンシップジュニアクラス優勝賞品のT3-05の真紅眼の黒竜50枚セットは300万円で落札された履歴があり
vol.3の真紅眼の黒竜の未裁断シートは900万円で落札されている履歴なども存在します。そしてある程度偽造品を売り抜けるとアカウントを削除して証拠隠滅、また新たなアカウントを作成し販売を再開しているようでした

このショップは2015年位から海外へ向けての販売にシフトして、サイトも英語表記に変えていました。そして商品名も英語にする事で落札履歴にも証拠が残りにくくしており、詐欺行為の隠ぺい工作をしていたようです。もしかしたら海外のオークションや通販サイトなどでも活動していた可能性もあります

このショップの店長はショップのプロフィールでWEB色見本(色のサンプルサイト)などを運営していると自ら公開しており、何冊か本名で本を出したりもしていて、デザイン雑誌にインタビューが掲載された事もあると公開しており、デザインや画像加工などについてはかなり深い知識を持っている事が伺えます。

さらに2008年のショップのプロフィールには、1995年の阪神大震災に巻き込まれ、建物の中に生き埋めになり、そこから救助され生還した当時9歳の少年として、著名なアナウンサーの東海林(しょうじ)のり子さんから救助する様子などを取材を受けて特集されたらしく、美談として本なども出版され、テレビ番組などでも取り上げられた事もあると自ら経歴を公開しています。

2008年12月のショップアーカイブの店長のプロフィールのページから過去に出版されている書籍の情報
https://web.archive.org/web/20081216024451/http://www.yugi1.com/page/5
web魚拓

この事故によって指を何本か欠損しているみたいです。また2005年~2015年程までショップ掲載の住所は変わっておらず、徳島県の板野郡藍住町となっており、古物商許可証などの番号も実在する事から偽名などは考えにくいです。2000年~2008年位の時期には近隣のショップ、カードキングダムの前身でもあるフューチャービー徳島などにも出入りしていた可能性が高いかもしれません。

元々は2005年辺りからネットショップを運営しており、少し値段は高めではありましたが、最初期は真っ当なショップとして運営していました。しかし2010年前後を境に、怪しげな偽造商品を正規品として販売し始め、オークションでも捨て垢を大量に作り大量の偽造品を世間に流通させています。

そして2015年前後からは、その行為はさらに露骨になり、オークションの出品などでも日本人の購入お断りと明記し、海外の代行業者を通した注文以外は削除すると書かれていました。

代行業者はあくまで商品の受け取り、海外発送を代行するだけであり、真贋鑑定などの知識は一切ありません。商品チェックも簡単に画像と同じ商品かどうかを確認するだけでしょう。しかし、代行業者側で商品を受け取った段階で受け取り連絡をして代金の支払いが完了してしまうので、海外に届いて偽物だと気づいてもお金は一切返ってきません

日本人をターゲットにするより海外のコレクターならば証拠が残りにくく、都合が良いと考えたのか、2015年からはショップも全て英語表記に変更しています。この時期に騙されて偽造カードを高額で買ってしまった海外コレクターも大勢いると予想されます。

また、聖夜竜やBEWドラゴンなどは、知る人ぞ知る高額カードですが、海外ではこれらのカードは発売しておらず、偽物と本物の区別は付けにくいでしょう。これらのカードはかなり精巧に作られており、日本の古くからのコレクターでも注意深く観察しないと見分ける事は難しい程の出来です

香港の有名コレクターRayChanさんもその被害者の一人です。まんだらけ通販で33000円で買った聖夜竜が、このショップが販売していた偽物と特徴が完全に一致しており被害が出ています。

これ以外にも数百枚単位でオークションで出品されていた偽造品を本物と信じて落札した人がショップなどへ持ち込み、さらにショップで本物として販売されて拡散されるなど多数の被害が出ています。

それに伴い、2022年5月にはPSA鑑定というカードの鑑定機関においても、偽物があまりにも多く出まわっているとの理由により、これらのシリーズのカードの鑑定が一時停止になるなどの影響も出ています。

これら以外にもこのショップが製造した偽造カードは多岐に渡りますので、今後の動画でその一覧や偽物の見分け方などを詳しく紹介していきたいと思います。

  • この記事を書いた人

メタポch

99年~シンクロ登場辺りまで遊戯王OCGをプレイ。10年以上の時を経て、初期の遊戯王の面白さを布教・記録するためyoutube・サイトなどで情報発信中。

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