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遊戯王 王国編のスターチップはカイジが元ネタだった? 考察検証

スターチップはカイジが元ネタ?

王国編 決闘者が奪い合うスターチップが初登場

1998年 週刊少年ジャンプ第01号 第60話 「挑戦!」から始まる決闘者の王国編

1998年 週刊少年ジャンプ第01号 第60話 「挑戦!」スターチップ登場

出典: 原作/高橋和希 集英社「遊戯王」 60話 挑戦!

日本中からよりすぐりの決闘者が集められペガサスへ挑戦するために スターチップをかけて争います。スターチップを失うと 島から強制退場になるため決闘に緊迫感が生まれました。このスターチップを見て、同時期に連載していたあのギャンブル漫画の金字塔 賭博黙示録カイジ」との類似点に気づいた方は当時何人いたでしょうか?

賭博黙示録カイジとは?

カイジは 1996年 週刊ヤングマガジン11号から連載が開始され25年以上連載が継続され 単行本も合計75冊以上出ている長寿連載漫画です。遊戯王の連載開始より 1年程前からの開始で雑誌は違えど同時代に始まった漫画です。そんなカイジの第一部のあらすじを紹介します

友人の保証人となってしまったために 多額の負債を抱えてしまった主人公 「伊藤開司」は負債者に借金一括返済のチャンスを与えるという希望の船エスポワールに乗り込み、カード12枚を使った「限定ジャンケン」というギャンブルで勝利をもくろみます。

カイジ 限定ジャンケン ルール

この限定ジャンケンのルールを説明するとグー・チョキ・パー各4枚ずつ合計12枚のカードを用いて同じ参加者同士でカードによるジャンケン勝負をして勝てば星が1つ増え、負ければ星が一つ減る。あいこはカードが減るだけで星に変動はありません。制限時間4時間以内に星を3つ以上得た状態ならクリアで全ての借金がチャラになるという仕組みです。

しかし問題なのは カードは全て使い切らなければならないというルールです。星3つというのは初期から持っている数でもあるのですが、カード12枚を消化する内に星は移動しますただのジャンケン勝負かと思いきや、非常に複雑な心理戦が繰り広げられていくのです。

カイジ エスポワール

出典: 原作/福本伸行 講談社「賭博黙示録カイジ」

埠頭から船に乗り集められた負債者達がカードバトルで星を奪い合う カイジの限定ジェンケン編

遊戯王 王国行きの船

出典: 原作/高橋和希 集英社「遊戯王」

埠頭から船に乗り 島に集められた決闘者がカードバトルで星を奪い合う決闘者の王国編。これはたしかに似ていますね……

ここで前回の動画でも登場した 遊戯王と同時期に少年ジャンプに「幕張」という漫画を連載していた 木多康昭先生の逸話がもう一つあります。木多康昭氏は友情で勝敗が決する遊戯王の作風に疑問を持っており、高橋和希先生に「賭博黙示録カイジ」を読むよう編集者を通じて伝えたらしいです。

しかし高橋先生は「豪華客船(王国行きの船)に乗って星(スターチップ)を奪い合う」という点だけを採用し、作風には何ら影響を与えなかった、という旨を後に木多氏がトークショーで語っていたらしいです。カイジの 命を懸けたギャンブルによる心理戦を参考にしろと伝えたら、スターチップと豪華客船のアイデアだけそのまま参考にするという力技に出てしまった高橋先生。

そしてカイジにおいて グー・チョキ・パーそれぞれのカードを買いしめて独占する事によって全体のカードの枚数を操作し、有利に勝負を展開しようともくろむカイジ一同、しかし初期の脱落者の一人に不要なカードをトイレに破棄し追放されたプレイヤーの存在を思い出し、敵キャラ船井の戦略が崩れさるシーンがあります

カイジ カード破棄

出典: 原作/福本伸行 講談社「賭博黙示録カイジ」

そう、このカードの破棄、遊戯王でも王国編序盤で同様の事件がありましたね。インセクター羽賀のエクゾディア破棄事件が印象に強いですが

インセクター羽賀 エクゾディア破棄

出典: 原作/高橋和希 集英社「遊戯王」

他にも変装したモクバが 決闘せずに参加者からスターチップを盗み出し 星を失った参加者が強制リタイアになったりなどたしかにカイジに影響を受けているようなシーンが存在します。

王国編 失格者

出典: 原作/高橋和希 集英社「遊戯王」

また、福本作品特有の黒服と呼ばれる監視者の存在、他の漫画ではあまり見かけない存在ですが 王国編には同じような黒スーツの監視者が多数見受けられます。このことから、スターチップの元ネタがカイジであるという話にはかなり信憑性があると考えられます。

ただ、その結果スターチップの奪い合いによって戦いに緊迫感が生まれ、実際に王国編をきっかけに遊戯王は爆発的な盛り上がりを起こした事は間違いないと思うので木多先生のアドバイスは決して間違ってはいなかったのではないかと思います。

今回の記事はこのへんでそして次回の記事では1999年2月待望の遊戯王OCG発売、発売中止になった幻のマジックアンドウィザーズ版について検証していきたいと思います。

  • この記事を書いた人

メタポch

99年~シンクロ登場辺りまで遊戯王OCGをプレイ。10年以上の時を経て、初期の遊戯王の面白さを布教・記録するためyoutube・サイトなどで情報発信中。

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