遊戯王の始まり

遊戯王は1996年発売の週刊少年ジャンプ第42号で高橋和樹先生により漫画の連載がスタートしました。遊戯王といえばカードゲームというイメージが強いですが、連載開始当初の学園編では祖父、双六から譲り受けた千年パズルによって気弱な主人公、武藤遊戯に現れたもう一つの人格、闇遊戯が闇のゲームをしかけ悪人を裁くといった藤子不二雄A先生の笑ゥせぇるすまんを彷彿とさせるような、一話完結型のお話が中心でした。
出典: 原作/高橋和希 集英社「遊戯王」第1話
原作にカードが初登場したのは?
初めて遊戯王にカードゲームが登場したのは第9話と10話 「牙を持つカード」 前編 後編です (ジャンプ1996年50号 1996-11-25発売 単行本第2巻収録)
出典: 原作/高橋和希 集英社「遊戯王」第9話「牙を持つカード」
マジック&ウィザーズと題されて紹介されたそのカードゲーム、このタイトルを聞いてピンとくる方も多いと思います。
1993年に発売された。世界初のトレーディングカードゲーム、現在でも世界中でプレイされているマジックザギャザリング、それを生み出した会社の名前がウィザーズ・オブ・ザ・コースト社。
その二つ(マジックとウィザーズ)を組み合わせたものがマジックアンドウィザーズの元ネタなのです。
出典: 原作/高橋和希 集英社「遊戯王」第9話「牙を持つカード」
当初漫画で紹介されたカードにはMTGの雰囲気に近いイラストのカードが多く描かれております。とはいえルールやカードなどはマジックと全く同じわけではなく、高橋先生のオリジナルのモンスターや独自のルールが詰め込まれています。
流行に敏感な高橋和希先生
高橋先生は遊戯王に多くの流行ゲームや海外文化をいち早く取り入れていました。カードゲームの他にも第21話アメリカンヒーローではアメコミを題材にしていたり第24話カプセルモンスターチェスではボードゲームを題材にしています。
1990年代後半、日本ではまだあまり浸透していなかった海外の最新のゲームや文化を漫画の中に取り入れていた事が伺い知れます。当初はマジックアンドウィザーズもその中の一つのお話に過ぎなかったのです。
9話と10話でひとまずマジック&ウィザーズ編は終了して、また学園の日常を軸とした話に戻りました。しかしカードゲーム編は読者からの反響が非常に多く、高橋先生はその声に答えます。
カードが再登場
第27話~40話の新章DEATH-T編 (死のテーマパーク編)でマジック&ウィザーズを再登場させます。
1~5まである死のテーマパークに遊戯達は挑み、苦戦しながらも一つ一つステージをクリアしていきます。そしてDEATH-T-ステージ5最後のボスはあの海馬であり、海馬はマジックアンドウィザーズで遊戯にリベンジを果たそうと立ちはだかります。
出典: 原作/高橋和希 集英社「遊戯王」第39話「死闘の果て」
初めてエクゾディアが登場したのもこの回です。当初DEATH-T編はステージ8までを予定していたようですが、ステージ5で少し早めに終了します。
DEATH-T編を短くした理由は担当編集の「早くカードバトルやろうよ!!」の一言が決定打になったらしいです。高橋先生は文庫本あとがきにて、きっと結果的には(この選択が)良かったのだと思いますと過去を振り返っていました。
カード人気が爆発、人気作品の仲間入り
そして約半年後の 1998年01号 第60話 「挑戦!!!」にてマジック&ウィザーズの製作者ペガサスから王国への招待状が届いた事により、ここから一気にカードゲーム中心の話に物語が動き出していきます。
カードゲームに特化した頃から人気は急上昇していき、人気漫画としての地位を確立していきました。しかし、そこまでの道のりは、けして順調というわけではなかったらしいです・・・今回の記事はこのへんで
そして次回の記事では、一時期、遊戯王は打ち切りの危機に陥っていたかもしれないとの噂について検証していきたいと思います。