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1999年2月 発売中止になった幻のM&W版 (マジック&ウィザーズ版)とは?

M&W版 (マジック&ウィザーズ版) について

幻のM&W版(マジック&ウィザーズ版)の基礎知識

王国編で人気が爆発した遊戯王、しかし王国編が開始して4カ月程度しか経っていない時期、1998年4月4日から10月10日まで、東映版アニメ全27話がテレビ朝日系列で放送されました。

私が初めて遊戯王を認識したのは、このアニメがきっかけだったと思います。東映版は第一章の学園編を中心としたお話でカードゲームも出てきますが、カードゲーム中心となったのは2000年に放送を開始したテレ東版、「遊☆戯☆王デュエルモンスターズ」からでした。

アニメ化にともないバンダイ版のカードダスが発売し買ったのを覚えています。そして1999年2月待望の遊戯王OCG発売、しかし、当初の発売予告画像では、商品名がM&W(マジック&ウィザーズ)と明記されているのはご存じでしょうか?

M&W版 (マジックアンドウィザーズ) 発売告知

集英社 週刊少年ジャンプ 1999年06号 M&W(マジック&ウィザーズ)版 発売告知

遊戯王 M&W版 (マジックアンドウィザーズ) カードデザイン 右下にコナミ表記

集英社 週刊少年ジャンプ 1999年06号 M&W(マジック&ウィザーズ)版 イラスト紹介

当初は原作通りのマジック&ウィザーズというタイトルで発売を検討していたが、元ネタであるMTGの販売元ウィザーズオブザコースト社側から後にクレームが入る事が予想されるのは明白で、発売前に急遽タイトルを遊戯王OCGに名称変更して発売したと考えられます。

わずかに市場に現れ始めたM&W版

そんな発売中止になったマジック&ウィザーズ版が近年になりわずかにオークション等で出品され存在が確認されているのです。

M&W版(マジック&ウィザーズ版)の3枚

出典: 過去のオークション落札履歴より

過去、オークション等に出回った枚数はわずか5枚程度、驚くべきはその価格、なんの変哲もない通常モンスターカードですが、その価格はおよそ2万円~5万円程で取引されており、ほとんど市場に出回らないまさに幻級のカードになっています。

M&W版(マジック&ウィザーズ版) 運命のろうそく 落札履歴

出典: 2020年のオークション落札履歴より M&W版 運命のろうそく

M&W版(マジック&ウィザーズ版) 闇にしたがう者 落札履歴

出典: 2020年のオークション落札履歴より M&W版 闇にしたがう者

M&W版に共通しているのは全て第一弾パックVol.1に収録されているノーマルカードという点見分け方は右下の表記が 「1999 コナミ」となっている事と裏面のロゴの違いです。

M&W版(マジック&ウィザーズ版) 1999 KONAMI表記で判別可能

今まで出回ってきたものは全てノーマルカードのみなので、暗黒騎士ガイアやブラックマジシャンのM&W版が出てきたらとてつもない価格になるかもしれませんね。

一説には通常パックに誤って一部封入されたとの噂もありますが、過去にオークション等で出回った回数も20年以上の中でたったの数回程度、この事から、パックに誤って封入された可能性は限りなく低いのではないかと思います。

しかし、このM&W版版の存在が認知され始めたのも、近年になってからなので、所持していたとしても右下がコナミと集英社の違いに気づく人もおらずスルーされている可能性も高いので、もしかしたら探せばもっと見つかるのかもしれません。初期のVol.1のノーマルカードを持っている方は一度チェックしてみるとよいかもしれません。

スタジオダイス版 通常版 違い 見分け方

似たようなものでスタジオ・ダイス版というものも存在しています。こちらは比較的有名なので知っている方は多いと思います。Vol.4~Vol.7の間の後期生産版パックのみに、右下にスタジオダイスと記載されたVerのものが存在しており、流通数が通常版より少ないのでコレクターの間で通常版より高値で取引される傾向があるというものです。このスタジオダイス版よりM&W版ははるかに数が少なく希少なものだと思います。

MTGのエラー流出品 「サマーマジック」

このような本来出回るはずではなかったカードが手違いで流出する事件はマジック&ウィザーズの本家本元である「MTG」でもありました。

サマーマジック
1994年、MTGがこの世に生まれてから約一年後、その人気は高まる一方でそれに伴い第3版リバイズドという再販版のセットが出荷されました。このリバイズドで確認されたいくつかのエラーやイラストの修正版としてEdgarというコードネームの再販版が1994年夏に発売される予定でした。

サマーマジック エラーカード

しかしこのセットはリバイズド・エディション以上にエラーが多かったためすべて破棄される予定となっていました。ところが手違いにより少量だけ誤って出荷されてしまったため少数が一般に流出することになりました。夏に発売予定であったためサマーマジックと呼ばれています。

サマーマジック 島

こちらもマジック&ウィザーズと同じように右下の年代表記が1994となっていることにより見分けることができるようです。この1994年表記のサマーマジック版になると1枚100円もしない基本土地カードですら数万円の価値にはねあがります。

今回のマジック&ウィザーズ版の流出の流れに、まさに近いような事件で、サマーマジック版のカードはノーマル(コモン)のカードでも高額で取引されています。

さらに今回の事件に非常によく似たケースを漫画化しているタイムリーな作品があります。それは高橋先生も王国編で影響を受けた大人気ギャンブル漫画「カイジ」のスピンオフ「1日外出録ハンチョウ」です。これより先ネタバレ注意

こちらはカイジ第2部、賭博破壊録カイジに登場した敵キャラ、大槻班長を主人公にしたスピンオフで原作のシリアスな空気を全く感じさせない、ギャグと雑学に特化した漫画でカイジが好きなら間違いなく楽しめる内容です。そんなハンチョウですが、2021年4月12日発売のヤングマガジンNo.20に登場した回では遊戯王カードを題材にしたお話が掲載されました。

グラモン登場 1日外出録ハンチョウ

出典:原作/荻原天晴 漫画/上原求/新井和也 協力/福本伸行 講談社「一日外出録ハンチョウ」第90話「決闘」より

グラモン登場2 1日外出録ハンチョウ

出典:原作/荻原天晴 漫画/上原求/新井和也 協力/福本伸行 講談社「一日外出録ハンチョウ」第90話「決闘」より グラモン登場

地下労働施設で強制労働を強いられる負債者達のもとに負債者の一人が考案したアングラモンスターカードゲーム、通称「グラモン」が地下施設で大流行するといった展開。

グラモン黒服により没収 1日外出録ハンチョウ

出典:原作/荻原天晴 漫画/上原求/新井和也 協力/福本伸行 講談社「一日外出録ハンチョウ」第90話「決闘」より グラモン没収

グラモン黒服により没収2 1日外出録ハンチョウ

出典:原作/荻原天晴 漫画/上原求/新井和也 協力/福本伸行 講談社「一日外出録ハンチョウ」第90話「決闘」より グラモン没収

そして、そのあまりの人気ぶりに、地下労働をおろそかにする者まで現れ、黒服達によりカードが没収されるというお話。

グラモン地上へ流出

出典:原作/荻原天晴 漫画/上原求/新井和也 協力/福本伸行 講談社「一日外出録ハンチョウ」第90話「決闘」より グラモン地上へ流出

そして最後のオチでは没収されたカードを黒服が持ち帰り、その子供たちに回って、一般に流出するといった流れが描かれております。

マジック&ウィザーズ版も、もしかしたらコナミ社員が試作品として制作したものの企画が急遽中止になり、それを持ち帰り子供に渡したものが流出した可能性もあるのではないでしょうか?もしくは印刷工場で廃棄になる予定だったカードを作業員が持ち出し、それを20年の時を経てオークションに出品したのか・・・真実は今となっては闇の中。もし詳しく知っている方がいましたらコメントで教えて下さい。

追記 2021年12月 新たに出品されたM&W版カード達

M&W版(マジック&ウィザーズ版) オークションに18枚セットで出品される

出典:2021年12月25日終了のオークション履歴より

M&W版(マジック&ウィザーズ版) オークションに18枚セットで出品される2

記事を書いてからしばらく経ち、2021年の12月に新たなM&W版カード達がオークションに出品されていました。枚数はなんと18枚セットでの出品で、気になる落札価格は91万1000円という高額価格で落札されています。ノーマルカードですが1枚あたり約5万円という計算になります。

M&W版 入手経路

出典:2021年12月25日終了のオークションの説明文より

また出品説明文には静岡県東部のノーマルカードストレージから発見されたとの記述がありました。もしかしたらその近辺で遊戯王カードの生産工場があり、廃棄品がリサイクルショップに持ち込まれた可能性もあるのかも?

そもそもM&W版は本物なのか?

未だ謎が多きM&W版、これらが初めて世に出たのはいつなのか?色々と調べると2010年前後にはオークションに出品されていた事はあるようで、認知度が高まったのは2015年前後に一般のショップなどでも取り扱われ画像などが広く出回ったのが大きそうです。

それ以降は数年に1度のペースで出品がぽつぽつとある位、画像をみる限りは当時のvol.1の物と印刷や紙質は同じで、ジャンプの発売予告情報などを元に架空のM&W版を作り出し、偽造品として大量生産し世に送り出したという線ももちろん考えられる。しかし実物のカードの精巧さと、2015年前後にオークションで取引されていた金額は1枚5000円にも届かない額なので、わざわざこれ程マニアックな架空のカードを製造し、本物と称して高値で売るのはあまり賢い方法には思えない。

アンデッド?アンデット?ファイヤー・デビルの表記エラーにまつわるトリビア

vol,1で収録されたファイヤー・デビル、このカードはエラーが存在する事は有名でありwikiにも記載されています。

アンデット族 アンデット族の表記エラー

出典;遊戯王カードwikiより

正しくはアンデット族とではなくトである。しかしファイヤー・デビルの初版品には表記のものが存在します。

初版版がと誤表記があり、後にト表記に修正されています。この修正はいつからなのかは定かではないが、初版版の表記の物のほうが数が少なく希少とされています。Vol.1よりさらに前に製造されたM&W版のファイヤー・デビルはどうなっているのでしょうか?

M&W版 アンデッド族表記のファイヤー・デビル

出典:過去オークションに出品されたM&W版ファイヤー・デビルの画像

アンデッ族表記です。やはり初版版と同じ仕様です。ここら辺の細かな違いも考えると、やはりM&W版はコナミが正式に製造したテストカードという線が濃厚なのではないかと現状は考えています。真実は当時のコナミ内部の人間にしかわからないですが、もしM&W版について詳しく知っている方がいましたらツイッターかコメント欄から教えて頂けると嬉しいです。

今回の記事はこのへんで、読んで頂きありがとうございました。

  • この記事を書いた人

メタポch

99年~シンクロ登場辺りまで遊戯王OCGをプレイ。10年以上の時を経て、初期の遊戯王の面白さを布教・記録するためyoutube・サイトなどで情報発信中。

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