聖夜竜とは?
今回は1998年9月26日~27日に開催された。初代GB版ゲームソフト「デュエルモンスターズ」通称DM1の体験会にて配布された、聖夜竜の偽物の見分け方についてご紹介します。
まず、このカードはOCGが発売されるよりも半年程前に製作されたカードであり、存在を知っている人も少ない、知る人ぞ知る高額カードです。わずか全国6か所で開催された、DM1のゲームの体験会に参加してゲームをプレイしてアンケートを書いた人しか貰えず、発行枚数もかなり少ないです。
翌年に開催されたDM2の体験会で配布された「アクア・マドール」は発行枚数約3000枚と言われていて、それよりもこの聖夜竜は数が少ないと予想されます。実際2010年以前には、このカードがオークションで出品される事は1年に数回程度しか無く、コアなコレクターしか欲しがらないカードなのでそれ程目立った存在でもありませんでした。
2015年 突如偽物の聖夜竜が大量に出現
しかし、2015年頃を境に異常なまでの数の聖夜竜の出品が相次ぎ、市場に偽物の聖夜竜が溢れました。そしてその大量に出品されていた聖夜竜はかなり精巧に作られた偽物だという事が判明しています。

その製造元はとあるネットショップの店長であり、この他にも数多の偽造カードを製造していた疑いがあります。このショップがオークションに数百枚単位で偽造品を流したので、現在オークションに出品される聖夜竜の多くがその偽物で、偽造品が多く出回っているカードとして有名であり、聖夜竜はコレクターの間で危険なカードとして認識されています。
聖夜竜でグーグル検索すると関連候補の一番上に偽物と表示されるほどです。

2022年 PSA鑑定でも偽物が多すぎる事が理由に鑑定が停止される
それに伴い、2022年5月にはPSA鑑定という鑑定機関においても、偽物があまりにも多く出まわっているとの理由により、これらのシリーズのカードの鑑定が一時停止になるなどの影響も出ているようです。

偽物ver.1 フォントの違い
簡単な見分け方をいくつか紹介します、まずはフォントの違いです。


偽物は攻撃力の撃の中の叉の中の空間がかなり広く、数字のフォントもわずかに細いです。これらが最初期に作られた偽物ver.1です。

香港の有名コレクターRayChanさんもその被害者の一人です。まんだらけ通販で33000円で買った聖夜竜が、この偽物と特徴が完全に一致しています。偽物を製造した張本人がまんだらけに売ったか、もしくはオークションで偽物を買った人がまんだらけに売却した可能性が高いです。
引用:Ray Chanさんのツイッターより、フォントが細い偽物ver.1の特徴と一致
この偽造品はかなり精巧に作られており、偽物があるという前提を知らなければ、騙されてしまうのも無理はないでしょう。また角の裁断についても、本物より丸みが強いようで、これも判断材料の一つになるでしょう。
引用:Ray Chanさんのツイッターの画像より 偽物は角の丸みが強い?
当時、これらがオークションに大量に出回った際に、一部のコレクターの方はその異変を感じ取り、フォントの違いで偽物を見分ける手段を思いついたようです。しかし、偽造品の製造者はさらにフォントを修正したver.2の偽物を追加生産し、オークションに流し始めました。
偽物ver.2 K O N A MIフォントに注意!

その偽物ver.2がこちらになります。一見、フォントも完全に修正され、本物と遜色ない作りです。しかし、左下のKONAMIの文字をよく見て見ると違いがあります。

本物はKONAMIと隙間無く、くっついていますが、偽物はK O N A MIとそれぞれの文字の間に行間が広く作られています。偽造カードを製造する人は、自分だけは偽物と本物を判別できる様に一部だけを改変すると聞いた事があります。
さらには最初にチープな作りの偽物を流す事によって、これはフォントが正常だから本物だと思い購入した人も多く、今でも本物だと思って所持している人もいるかもしれません。このver.2が偽物の中では一番クオリティが高く、危険性が高いです。もしかしたら、KONAMIのフォントも修正した、より精巧なverも存在する可能性があります。
2022年2月 オークションに偽物ver.2が出品される
そして、つい最近、2022年の2月にこの偽物ver.2と特徴が一致する偽物が、オークション代行業者を通してヤフオクに出品され、4万円という高額価格で落札されていました。



代行業者を通して足が付かない様にしている点から、偽物だとわかったうえで出品している可能性が高いです。偽物に気づかず落札してしまった方はもしお気づきになりましたら、代行業者に連絡したり、警察などへ被害届を出せば、返金される可能性があります。
偽物ver.3 謎の英語版
そしてこれら以外にも偽物は存在します。一つは左下のテキストが謎の英語表記になっている物


遊戯王の英語版の販売が開始したのは2001年からで1998年ではOCGですら発売していない時期なので英語版はありえません。トライアルセッション、VIPにのみ与えられる、店舗では販売されていません などと謎の怪しい説明が付いています。これは海外の人を騙すために作られたものでしょう。偽物Ver.3です
偽物ver.4 偽造品の特徴を持った未裁断
さらには、これらの特徴と一致する偽造品の未裁断のアンカット仕様の物も確認されています。


基本的には未裁断の物は内部関係者のみしか入手できない物なので、様々な偽造品のverの未裁断を自ら製造。それを自ら裁断、もしくは未裁断の状態でそのまま出品していると思われます。偽物ver.4
特に最初期の出品では、カードの角の裁断については、角ばっている物や丸すぎる物などが多かったですが、後期のverではそれらも改善し、角の裁断も正規品に近い様に修正されているようなので注意が必要です。
基本的に偽物ver.2が最も本物に近く、危険ですが、このKONAMIフォントが修正された物が存在するとしたら、画像からでは判断が付けられないので危険視していました。
確信的な見分け方が判明 ネームのホワイトドットをチェックせよ!
しかし、ツイッターのフォロワーであるYodaさんも、この偽造カードの特徴について調べていたようで、新たな見分け方を発信し、注意喚起を行ってくれていました。
そのツイートを参考にすると、カード名の部分をスマホのズーム機能なので拡大して撮影すると本物は文字の中に、ホワイトドットが多数散りばめられており、偽物にはそれが全く無いとの事でした。
実際にまんだらけで偽物ver.1を購入してしまったRayChanさんもこの方法で検証した所、やはり偽物にはホワイトドットが無かったみたいです。
これにより、本物・偽物の判別方法がより明確になり、本物を安心して購入できる様になったと思います。
本物の特徴 裏面の枠ズレ 斜めズレ
そして本物の特徴としては、裏面の枠が大きく左にズレているという特徴があります。これはシクブルなどでも同様の見分け方がありますので、初期のプロモカードゆえの特徴なのかもしれません。
引用:過去オークションに出品されていた全て本物の裏面の画像
過去オークションで出品されている本物の画像のほぼ全てにこの枠ズレは当てはまっており、逆に偽物はセンタリングが表裏ともに左右対称でバランスが取れている物が多いです。


表面に関しても本物は左右の枠の太さがアンバランスな物が多く(左が太く、右が細い)、さらに縦横共に若干斜めズレして裁断されているのも特徴です。(上側の枠はどれも右斜め上にズレている物が多い)
引用:過去オークションに出品されていた全て本物の表面の画像
また裏面は聖夜竜だけは他のカードと違い、淡い赤みがかった独自の色合いをしています。
引用: 過去オークションに出品されていた本物の裏面の画像 赤身が強い
KONAMIロゴに関してはDM1の特典はブリード&バトルの物より黄色の印刷が濃いという特徴がありますが、聖夜竜に関してはブリード&バトルの物に近い薄い黄色になっています。

聖夜竜の購入を検討している方は、これらの点に注意すれば、偽物に騙される事は無いでしょう。近年では偽物が多いカードとして有名になったせいか、聖夜竜自体の出品がほとんど無くなってきていますが、影では数百枚単位で偽物が存在しているので、ショップの買取に持ち込まれた際などには、お店の方にも今一度、注意して頂けましたら幸いです。
今回の記事はこのへんで、次回の記事では、ブリード&バトル特典のBEWドラゴンの偽物の見分け方も同じ様にご紹介したいと思います。